内容
猛威を振った台風の影響か、北中グラウンドは、いつになく砂が消え去り、この上ないハードグラウンドと化していた。JTAドームの人工芝や旧宮原小学校グラウンドの育ち盛りな天然芝に慣れ親しんたINDEPENDIENTEは、試合序盤、土の硬さにも増してプレーにも硬さが見られた。
しかし、前半の中頃、左のFWに入ったTOWAがいつもの強烈で豪快なトマホーク弾を放った頃から、攻撃陣のキレが1ランク上がった。
SYUYA、YASUTAKAが怒涛のプレスを仕掛けると、ボールを奪ったTOWAからエースKIPPEIへと繋がる。
これをキレ味抜群のスピードと華麗なボールタッチで持ち込んだKIPPEIが、冷静にゴールへと流し込み、貴重な先制点を獲得!小学生時代から苦楽を共にしてきた仲間のゴールに満面の笑みで駆け寄るNORINOSHIN。
その後、1点リードのまま前半を折り返すかと思われたが、前半終了間際に失点を許し、同点で試合を折り返す。ハーフタイム、全員で円陣を組む INDEPENDIENTE JAPAN MIYAKOJIMA U-15の面々。
後半、ギアをあげた平良中の素早い攻撃陣が猛威を振う。しかし、高い集中力を最後まで保ち、冷静にカラダを張り続けた守備陣が相手ゴールを許すことはなかった。中でも、守護神SHIONによるファインセーブは、幾度となくチームを救い、ピッチの仲間達を最後まで勇気づけた。
激しい攻防を繰り返しつつも、同点のまま、刻一刻と時間が過ぎていった。そんな中、多くのギャラリーが見守るこのタッチライン際から試合が動く。
混戦から鋭いヨミと細かいボールタッチで抜け出したのはまたもやKIPPEIだった。
夏休み中、旧宮原小学校グラウンドでのトレーニングであろうと、ジュニアユースの誰よりも早く来て、グラウンドを独り何周も走り、しっかりと汗を流してからストイックにボールタッチを行っていたKIPPEI。トレーニング後も、時間が許す限りボールタッチを忘れない。足のあらゆる面で細かくリフティングを続けるエースの姿を、仲間も後輩達も知っていた。そんな地道で多大な努力が、この一瞬のためにあったのだと誰もが感じた瞬間だった。
相手ディフェンスを振り切るスピード・無駄のないボールタッチ・ブレない体幹による素早い重心の移動。すべてが揃ったボール運びにより敵陣を切り裂き、瞬く間にゴールラインへ迫り、執念のラストパス。
これを最高のポジションを取りながら併走していたYUUがゴールへ叩き込んだ。この日、相手DFを背負い何度も倒されながらも我慢を重ね、献身的なプレーに徹していたトップ下の負けず嫌いの点取り屋が最後の最後で大仕事をやってのけてくれた。
その後は今年一番の緊張だったかもしれない。あと5分、3分、1分。いつも控えめな指導陣もいつしか大声を張り上げていた。
「集中だぞ!集中!」
いろんな思いが駆け巡る。我慢に我慢を重ねて、今年ようやく、INDEPENDIENTEのエンブレムを胸に付けて「U-15 高円宮杯」への公式参戦を果たした中学3年生。共に切磋琢磨してきた中学2年生。半年前までは小学生だった中学1年生。たび重なる指導陣の交代の中で、ただ一人、唯一、発足当初からチームを見守り続けてきてくれたHAYATOコーチ。今年度より宮古島に移住し、ジュニアユースへの熱い指導にどっぷり励んでくれたDAIKIコーチ。INDEPENDIENTEの志に賛同して加わってくれた多くの実力派若手サブコーチ達。遠く鳩山から見守りいつも応援してくれているYUコーチ、そして同じINDEPENDIENTEファミリーの本国アルゼンチンや埼玉鳩山の仲間達。
そんな多くの大きな期待を、小さな背中に背負って最後まで懸命に戦い続けてくれた選手達。応援に駆け付けた後輩達が見守る中、ベンチの仲間もピッチ上の選手も、みんなで声をかけあい、共に大事な1点を守り抜き、ついに、ゲームセットを告げる長いホイッスルがグラウンドに鳴り響いた。
試合終了直後、ピッチ上での喜びの姿を映した画像には、共に素晴らしい戦いを見せた、敗れた相手チームの選手の姿も映されていることから、掲載は控えさせて頂く。そして、試合後の挨拶にて、平良中サッカー部の選手達が、同じ小学校の元チームメイトであるINDEPENDIENTEの選手に「おめでとう。県大会、がんばれよ!」と各々に声をかけてきたという。この上ない最大のリスペクトと拍手を送りたい。
さぁ、次は県大会。同じピッチで力を出し切った、かけがえのないサッカー仲間の分まで、沖縄本島で暴れてこよう!
VAMOS ROJO‼